100均のセリアで買った物で簡易撮影ボックスを作って全力でツナ缶を撮影した話

「バナナフィッシュにうってつけの日」があるのだから、「ツナカンフォトにうってつけの日」があったっていいじゃないか。
そんなことを思って、私はツナ缶を美しく撮影することに決めた。

なんの準備もせずに丸腰のiPhone7で撮影した写真がこちらだ。

tsuna_kan_0_percent

何を隠そう、我が家の照明は暖色なのである。しかも明かりが強すぎて、ツナ缶の力強さや、内に秘めた可能性を表現しきることが出来ていない。これでは全然お話にならない。

そう思って撮影方法を検討していたところ、ある記事(「撮影ボックスをダイソーの材料で自作してみた!iPhoneでも綺麗にブツ撮りが出来る!」)をみつけた。なんとその記事では、100円ショップのダイソーにあるものを使って、簡易フォトブースを作っていたのだ。なんという発想力、そしてなんという実行力だろう。これはお知恵を拝借するしかない。そして私は意気揚々と近くの100円ショップへ繰り出しのだ。

私の家から ふらっと行ける距離に行ける100円ショップは一つしかなかった。道すがら、私はいかにツナ缶を美しくとるか、この一点だけを考えていた。

「しばらく日の目を見ていなかった一眼レフをひっぱり出さねば」

「ツナ缶のメタリックな質感、そしてその内に秘めたるおいしい可能性を感じさせる写真を撮ることが出来るだろうか…?」

そんなことに思いを巡らせながら、たどり着いた100円ショップは……セリアだった。



申し訳程度の目次


100円ショップのセリアで買ったものと、簡易撮影ボックスの組み上げ

簡易撮影ボックスなら、白くて薄い板を買っとけば何とかなる。

“ウッドキューブ”をジョイントにした、簡易撮影ボックス

ダイソーじゃなくてセリアだったことに愕然としながらも、必死に頭をしぼって私が購入したものがこちらである。

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セリアであるにも関わらず果敢に挑みたい猛者のために商品を羅列しておくと

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  • プラダン(110円) × 3
  • 12SMD&LEDランタン(110円) × 3
  • セリア上質模造紙(白)4枚入り (110円)
  • 木製立方体12片 (110円)
  • ホビー鋸(のこぎり) (110円)
  • ハンドルバッグL (英字) (110円)

合わせて1210円である。ランタンには電池が付属していないが、うちに大量に余っていたので、今回はそれを流用している。一つのランタンに対して3本の単三電池が必要になるので、今回の場合は9本の単三電池を使用した。

私が立てた作戦は以下のとおりである。

  1. プラダン2枚を半分に切断。(左右の壁と上下の壁用)
  2. 残りの一枚のプラダンは背景用なので、半分ではなくて枠のサイズに合わせて切断。
  3. 木の立方体に、ホビー鋸(のこぎり)を使って、十字に切れ込みをいれる。
  4. 切れ込みにプラダンを差し込み、良い感じに組み立てる
  5. 出来上がった枠の中に、背景として模造紙を置く。
  6. LEDランタンで、壁ごしの間接照明、もしくは直接のライトアップも可能!(ここまで6手で先方の大勝利)

完璧な作戦である。

というのも、セリアにも組み立て式ラックがあることはあるのだが、いかんせん板が茶色なのである。これでは暖色照明に悩む現状と、なんら変わり無いではないか。オレンジがベージュに変わるだけだ。さらに悪いことに、その組み立て式ラックの骨組みがあまり残っていなかった。ホラーマンもびっくりのスカスカっぷりになってしまう。

そこで思いついたのが、ペーパークリップ方式である。皆さんも、ちょっとしたメモを挟む切れ込みの入ったオシャレな木の四角いのをみたことがないだろうか?たかだか紙きれほどの自立力でもきちんと立つのだから、プラスチック段ボールであるプラダンさんが立たないはずはない。おしゃれな四角いのをジョイントとして使用すれば、箱のような造形を作るのは何の造作もないことなのである。

買った物リストの中にあった、木製立方体12片はこのためである。全ジョイント箇所につけても8個しか使用しないため、110円で4個もおつりがくる計算だ。

wood_cube
3 cm×3 cmの”ウッドキューブ”である。
2個でもすごいのだから、
これは約束された勝利であろう。

差し込む深さが違うと、プラダンが斜めになってしまう。そのため、切れ込みの深さをなるべく均一にする必要があった。

なぜか売っていた曲尺(L字の定規)を駆使して、ウッドキューブに切り込み線をつけていく。3×3 cmの立方体なので、とりあえず1.5 cmの切り込みを付けることにした。後は線のところまで、ホビー鋸(のこぎり)で切れ目を付ければばっちりである。

このウッドキューブは、よく言えば優しい風合いと肌触り、悪く言えばなんか柔らかい材質の木でできていた。110円で買えるホビー鋸(のこぎり)の切れ味にも問題が無いとは言えないが、切れ込みを入れるのは意外と大変であった。そのため、買ってきたものの写真を撮っていた時にはまだ太陽も明るく仕事中であったのに、私がウッドキューブに切れ込みを入れ終わったころには暖色の室内灯下での撮影となってしまった。

そして、めでたく切れ込みの入ったウッドキューブがこちらである。

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左は切れ込みの入ったウッドキューブ。
右は高野豆腐のようなウッドキューブ。

これをジョイントとして、プラダンさんを組み上げていく!

wood_cube_with_pla_dan


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「は、入らない……だとッ!?!?」

そうなのだ、プラダンさんには意外と厚みがあった。遊び間隔でチャラついてノコギリなんかをやってるやつの付けた切れ目に収まるような器ではなかったのだ。本気でウッドキューブジョイント作戦をしようと思ったら、やすりのようなものを買って、緩すぎない程度に切れ込みを広げる必要がある。もうホームセンターもセリアも閉まってしまった後で、真にしまったと言ったところである。


作戦を変更、プラダンのその自立力に頼った簡易撮影ボックス

こんなことでへこたれる程の高野豆腐メンタルであれば、ダイソーではなくセリアだったと気づいた時に既に心は折れていただろう。しかし私はそうではない。困難にぶつかろうとも、当初のプランがいかに甘いものだったかを思い知って途方にくれても、それでも前に進み続けることしかできない性分なのだ。

とにかく私はプラダンを切って立ててみることにした。

pla_dan
買ってきたばかりの時のプラダン
pla_dan_cut
スパッ!!

こうやってプラダンをなるべく大きさがそろうように、半分に切った。
一応、二枚を重ね合わせて、はみ出たところに鉛筆で線を引き、はみ出た部分を切ったりもした。(後に、ここまでのこだわりは必要無かったことが分かるが、これはまた別の話だ。)

うちにあったガムテープを使って、固定してみる。この時、貼り合わせる場所同士に遊びを作っておくことが重要だ。
そうでないと、ボックスの形を保ったままのこいつと生活を共にすることになる。具体的には、貼り付け部分となる箇所を、折り曲げた時の状態で張り合わせる。こうすることで、折り曲げるだけの余裕が生まれるし、ガムテープで張り付けた片方の面だけ余ってだぶだぶになることもない。

pla_ban_tape1
こういう向きで開いたり閉じたりする(予定)
pla_ban_tape2
閉じた状態にしてから、製本テープを閉じるみたいにテープを張る
pla_ban_tape
外側にガムテープを貼る
pla_ban_tape4
開くと、プラダンの厚さの分だけ”遊び”が出来ている。
このように開いた状態で、こちら側からもガムテープを貼る。

この”遊び残しガムテープ法”を用いて、「コ」の字型にプラダンをくっつけた。試しに立ててみると、思った通り、意外と良い安定感があった。

今回用意したLEDランタンは長方形の形をしており、これがなかなかに安定感のある代物である。サイドから照らすことを考えれば、LEDランタンを支えにして、この「コ」の字型プラスティックを自立させてやることも出来るのではないか?という考えが脳裏をかすめた。

photo_booth_with_seria

???「立った!!コノジが立った!!!」

LEDランタンに支えられながらではあるが、「コ」の字型のプラダンさんは見事に自分の足で立って見せた。内側に折れてバランスを崩さないように、土台役のプラダンも、目立たないながら良い仕事をしている。しかも自立しただけでなく、なんとその上にLEDランタンを乗せることにも成功してしまった。これなら、ジョイント無しでもフォトブースとして全然成り立つではないか!
あとは背面のプラダンを付け、プラダンの縞々隠しや商品によって欲しい色が違う場合にも対応可能な模造紙の準備をするだけである。

ちょうどいい感じの場所に線をつけ、ザクザクとプラダンを切断した後、向かって右側のプラダンに”遊び残しガムテープ法”を用いて、背面のプラダンをくっつけた。すると、こんな感じになった。

pla_dan_booth1
まさかの安定感である。背面は一辺だけ固定して、もう一辺は着脱可にしておく。上側には模造紙を通すため、固定しない。

手前にぴろりとくっついた一筋のガムテープは、立ち上げた時に反対側のプラダンに固定するためのものである。
できればマスキングテープ的なオシャレなやつが良かったが、ガムテープのようにホイホイとどこにでも現れるタイプではないみたいだ。

あとは白の模造紙を良い感じの大きさに切って(大きすぎて切るのが大変だったため、垂らせるだけの長さがある辺をそのままにして、テキトウに4等分した線で切って)、簡易ブースの中においたものがこちらの写真である。

pla_photo_booth_with_paper
中央に鎮座しているのはツナ缶。後ろに垂らすくらい模造紙に余裕がある。

模造紙は、折り目を付けずに、ただ引っ掛ける感じにしといてもそこまで問題は無い。これで、一応簡易フォトブースの組みあがりである。


簡易撮影ボックス feat. セリア

セリアのプラダン(白以外もある)とガムテープ、そして模造紙(白以外もある)で簡易撮影ボックスは作れる

「あまりにも長い旅で、何のために歩いているのか、誰のためにあるいているのか……」

そんな風になってしまうことは、BUMP OF CHICKENの「Ever Lasting Lie」に出てくるおじいさんでなくとも、誰にでもあるだろう。

読者の皆様が迷子にならぬよう、今一度ここまでの流れと、結局セリアのもので簡易撮影ボックスを作るのに使った物をまとめておこうと思う。

ここまでの記事の概要
動機1 : ツナ缶の写真が撮りたい
問題1 : うちの照明は赤みが強い
解決1 : 100円ショップ(ダイソー)のもので簡易撮影ボックスが作れる!
問題2 : 近くにあったのはセリア
解決2 : ウッドキューブでプラダンを組む
問題3 : プラダン厚すぎ
解決3 : 遊び残しガムテープ法
結果 : セリアでそろえた材料で簡易フォトブース完成

実際に使った物
・プラダン 3枚
・模造紙 (4分の1枚)
・LEDランタン 3個
・ガムテープ (家にあったやつ)
 計770円(+単三電池9本)

というところである。電池さえ準備できれば、1000円以下で作れてしまう。模造紙は一応消耗品だし、さらにこだわるならもっと他の色やデザインのものも試してみることができそうだ。今回はハサミでプラダンを切断したが、若干切りにくさを感じる。ただ、カッターでやるとなると、プラダンの大きさをカバーできるカッターマットか注意力が必要になるため、やっぱりハサミのほうがオススメである。作業時間は、ウッドキューブと格闘していた時間を除けば40分ほどだった。

まあまあ良い乾電池が10本で600円くらいだとすると、この簡易撮影ボックスにかかったコストは1500円と40分である。

とうとう実を結んだ努力の結晶の堂々たる姿を見て欲しい。

photo_booth_seria
1500円と40分で出来た簡易フォトブース

背面にプラダンが加わったことにより、安定性を増した。LEDランタンが外側から支えなくても、余裕で自立可能である。

実際の撮影に行く前に、もう一つ見て欲しい写真がある。

folded_photo_booth

なんとこの撮影ボックス、折りたためるのである。

箱の状態にトランスフォームされたままでは、こっちが酔っぱらってトランス状態で帰宅した際にうっかり踏んづけてしまうかもしれない。そんな危機を避けるべく、コンパクトに折りたたんでしまうことができるのだ。ここでも、独特のガムテープ接着法が光る。

感の良い読者の方ならもうお気づきであろう。セリアで買った物のラインナップにまだ登場していないものがあったことを…

そう、それは!

folded_photo_booth_in_bag

なんとぴったりサイズなのだ!

簡易フォトブースを持ち運びたい!

そんな時に便利なのがこのプラスチックの袋である。適当に買ったのに意外にもぴったりと収まった(模造紙は無理。箱とライトだけ)。

微妙なサイズと共同生活を送る不安もぬぐえたところで、撮影タイムに移る。


(制作時間40分の)簡易撮影ボックスでツナ缶の撮影

いよいよ撮影開始

思えばここまで、長い道のりだった。

これがツナ缶を撮影したくて、ゼロから作り上げた簡易撮影ボックスだ!

photo_booth_tsunakan

そして、実際に撮った写真がこちらである。

tsuna_kan_photo_1
2020年なのに、iPhone 7で撮影。

いかがだろうか?最初に撮った写真と見比べてみて欲しい。

tsuna_kan_0_percent
ビフォー
tsuna_kan_photo_1
アフター

お分かりいただけるだろうか?

その辺に転がっていそうな缶だったツナ缶が、堂々とした威厳を放っている。

この写真を撮った人は同一人物だし、ツナ缶の缶自体も同一缶だ。人間のほうが厳しい鍛錬を超えた訳でもなければ、ツナ缶のほうが長年のエージングによって貫録をまとったわけでもない。もちろんiPhoneも同じ7のままだ。

間にあったのは、1時間ほどの空白の時間と、たった40分の作業である。たったそれだけのインプットで、これだけの貫録、そして美しさを引き出すことが出来てしまった……
私は達成感と共に、ある種の郷愁のようなものを覚えながら、あることを思い出した。

「そういえば、一眼レフ持ってたわ」


再撮影

私は5年ほど前に、PENTAXのK50という一眼レフを買っていたのだ。

これがなかなか強いカメラで、マイナス10度でも動くし、防塵・防滴でフィールドワークにはもってこいなのである。ただ、自然の景色とかしか撮ったことはなく、私のスキルでこの一眼レフの性能を十全に引き出せるかというと疑問が残る。しかしそれでも、全ての可能性を検討してみたくなるのがこのツナ缶の魅力というものだろう。たとえ一眼レフの力を発揮しきれずに、iPhone7の写真に負けたとしても。1%でもiPhoneを超える可能性があるのなら、私は勝負したいと思ってしまうのだ。

撮影スキルはこれから磨いていくとして、とりあえず5年来の相棒である彼の姿を見てもらいたい。(iPhone 7で撮影)

k50_right
レンズが2本ついて5万円ちょいで買えたのに、なかなか良い性能をしているPENTAX K-50
k50_left
今回は15-55 mmのレンズで参戦。

そしてPENTAX K-50で撮影したツナ缶がこちらである。

tsuna_kan_no_filter
フィルターなし
tsuna_kan_sauna15
Windowsデフォルトのフォトアプリでsaunaフィルターを15%使用

いかがだろうか?

iPhone 7では安っぽく光ってしまった縁の部分の光沢が、まるで別人のようである。
缶の上側のぼやけ具合も、やはりさすがといった味を出している。
メタリックな貫録と、中身への淡い焦燥を捕えられた写真は、やはりこちらではないだろうか?

並べてみると、意外と違いがある。

tsuna_kan_photo_1
iPhone 7で撮影したもの。だいぶ見違えた。

tsuna_kan_no_filter
PENTAX K50で撮影したもの。
最初のiPhone 7を使って丸腰で撮影したものと同じ被写体とは思えない。
iPhoneのほうと比べると縁の部分の光沢の表現が素晴らしい。
また、一眼レフならではの、ちょうど良い感じのぼかしが側面と上側に効いている。

撮り手の技量不足をカバーして余りあるほどのパフォーマンスを見せたPENTAX K-50氏には、心よりの感謝を送りたいと思う。

それと同時に、スマートフォンでありながらも、ツナ缶のポテンシャルをここまで引き出すことができたiPhone 7もよく頑張ったということも言い添えておく。

ツナ缶を美しく撮る衝動に駆られて、簡易撮影ボックスを作った。これを使えば、スマートフォンでの撮影でも、おうちのライトが暖色や寒色気味でも、誰でも良い感じの写真をとることができるのではないだろうか?


おわりに

ツナ缶を撮影するために、ダイソーにあるもので作れる簡易撮影ボックスの記事を見つけ、近くにセリアしかなかった人間の奮闘記、お楽しみいただけただろうか?

意外と簡単で安く作れてしまうので、何かの折にはぜひ試してみて欲しい。LED電球に色のついたセロファンを貼ったり、背景をいろいろと買えたりすることで、ちょっとした自由研究にも使えるかもしれない。(写真はコンビニで印刷できるはず)

一眼レフで撮った写真を眺めていて、ふと気づいたことがある。

それは、

ツナ缶に描いてあるツナはドット風だけど、文字の方は線がなめらか

ということだ。

最後にその写真を貼って、この記事を終わりにしたいと思う。

長文にも関わらず、お付き合い頂き有難う。それではまたどこかで。

raster_like_vs_bector_like
ツナ缶は、「ンマイ!」

2020/6/6追記

愛用している一眼レフのPENTAX K-50ですが、まだAmazonで売られていました!いちおうリンク貼っときますね。

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